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【過去記事】
1過去の過ちを思い出した

2優しさの塊のようなひと

3都合よく流れてよかった、なんて
4いちおう、付き合っていた人について
5本命の女がいる予感
6自尊心を満たすためだけに
7胸騒ぎ、女の勘が当たる日
8左手の薬指
9『あいみ』って誰?
10すべてが明らかになる時





カバンの端から、クリアファイルが見えた。めくれたファイルの角、支えになるものを失った書類が数枚、ぺろんとしてた。


バスルームからはシャワーの音。


今や。


わたしはそのぺろんのところ、カバンを覗き込むようにして、一枚一枚めくってった。







へんなもの。


住所。申請書?


会社に出す書類やろうか。


晃司さんは当時、高槻にある社宅に住んでいると聞いていた。でも、その書類には新しい住所として、『大日』と、書かれてた。


会社の近く……もう引っ越してるんやろうなんて、当たり前のように感じた。


決定打に欠ける。


わたしが期待していたのはこんなものじゃない、もっと直接的な……わたしが知りたいのは、女にまつわるものやったんや。


残念に思う反面、今まで感じてた違和感がいよいよ解けるような気がして、胸が妙に高鳴った。







丸や四角、が、描かれた紙。


なんやこれ。


書類らしくない紙。


不思議に思った。


座席表?







時が止まった。これや、と思った。同時に、マンガかよドラマかよって、心の中で突っ込んだ。


いろんな感情が巡った。


面白すぎる有り得へん。もうちょっとレベル低いので勘弁して。ようやく謎が解けた。わたしの勘すごすぎやんわたしすごいやん。これは事実やの、夢じゃないの。







ひとつだけ間違えてたことがあった。晃司さんが口ずさんだ名前は『あいみ』じゃなかった。『あゆみ』やった。


書いてあったんや、新婦と書かれた文字の横に。新郎と書かれた文字の横には晃司さんの名前。


ビンゴ。


わたしが見つけたの、結婚式の席次やってん。




▽次の日記
12さびしいはなしや