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【過去記事】
1過去の過ちを思い出した

2優しさの塊のようなひと

3都合よく流れてよかった、なんて
4いちおう、付き合っていた人について
5本命の女がいる予感
6自尊心を満たすためだけに
7胸騒ぎ、女の勘が当たる日
8左手の薬指
9『あいみ』って誰?






晃司さんはひとりでやってたのと同じやん。わたしの存在って……。


いよいよ現実を突きつけられ、心がむなしさに沈んだ。


遅すぎるけど。


シーツの上の晃司さんの左手、薬指がやけに気になった。やっぱり、そこにあるべきものがないって、強い感覚をおぼえて。


ちなみにわたし、霊感とかぜんぜんないよ。でも……なんでかなぁ。虫の知らせ、第六感とでも言うんやろうか。







今、こうして書いていて気づいたことがある。


当時はわたし、人の評価に自分の価値を見出してた。だから、なんだかんだ言っても優男さんのことを放さなかったし、晃司さんのことも有耶無耶のままにしてた。


今もその癖は残っているので、気をつけようと思う。







それまでは、ことを終えてすぐに晃司さんもわたしも眠ってた。というか、眠ってしまってた。でもこの日はやっぱり、違っていて。


晃司「お風呂、入ってくる?」


お互い、余裕があった。


わたしは思った。わたしを先にお風呂に入らせ、『あいみ』さんに連絡するんやろう。だってもう終電のない時間やけれど、一度も連絡してないもん。


ちょっとだけ、嫌がらせをしようと思った。


葉月「いい、先入って」
晃司「いいよ、先に……」
葉月「いい」
晃司「……わかった」


強く主張するわたしに折れ、どこか不満気な顔をしながら、晃司さんはバスルームへと入ってった。







わたしは考えた。


決着をつけないといけない、尻尾を掴まないといけない、今夜中に。この日を逃せば後がないように思えた。し、この日ならできると思った。


でも一体、どうすれば。


『あいみ』については決定的ではない。だってわたしが見ただけやもん。しらを切られる可能性だってある。


……ふと、晃司さんのカバンが目に入った。無造作に、空いてたの。




▽次の日記
11衝撃的すぎて壮大なネタかと