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【過去記事】
1 まさかのこんな場所でも、出会いはあったねん!
2 おじいさんたちの趣味:若人の出会いの仲介役?!
3 見知らぬ番号からの着信から始まった
4 『青年』を紹介される






約束の日。


当時はいつも、化粧直しさえせず髪を振り乱して(それくらいの勢いで)仕事をしていたが、その日は清楚系のワンピースを着、お昼休みには化粧も直し、そういったことをした、というだけで、気持ちはもうええとこのお嬢さんやった。


仕上がりはさておき。


そんな自分を楽しみながら就業間近に差し掛かった時、急な仕事が入った。翌日に持ち越せないやつ。ざっと見積もっても、待ち合わせの時間に30分は遅れる……。


すぐにおじいさんに連絡をした。おじいさんは予想以上に柔軟に対応してくれた。『なんやそんなこと』『今日来れなくなってしまったのかと思った』って。


爺「青年には僕からよう言うておきますし、気にせずお仕事してきてください」



大急ぎで仕事を終えておじいさんのお店に着いたのは、当初の約束からちょうど30分遅れの時間。急いでいたのと不安だったのと申し訳ないのと……いろんな気持ちでごっちゃになっていて、幸いなことに緊張はあまりなかった。


葉「すみません!遅れてしまいました!!!」


若干ハイテンションで扉を開けた。店の中にある仕切りの奥から、おじいさんがひょっこり顔をのぞかせた。


おじいさんの向かいには黒々とした髪の男性。扉に背を向けて座っていたので、顔は見えなかった。


が。こだわりも何もない髪型やチェック柄の半そでシャツ、黒色のだぼっとしたジーパンから、オタク要素を持ち合わせていたり女性に慣れていなかったりするであろう雰囲気は掴み取ることができた。